新年を迎えて~ 2020年 松井章奎館長より新年のご挨拶
2020年1月1日
新年、あけましておめでとうございます。
平素は極真会館の活動に御理解と御支援をいただき誠にありがとうございます。この場をお借りして謹んで御礼申し上げます。
昨年中はお陰様で極真会館の最大行事である第12回目の全世界空手道選手権大会をはじめ、すべての行事を無事滞りなく終了する事が出来ました。これも偏に日頃から我々の活動を支持していただき、御協力賜ります会員の皆様はじめ多くの方々と御協賛各社様の御支援の賜物であると重ねて感謝申し上げます。
さて、今年はいよいよ「東京2020オリンピック・パラリンピック」が7月に開催されます。各競技に出場する日本代表選手たちが選ばれていく中で、追加競技として採用された空手道は、世界各国で予選大会や国際大会が開かれ、社会的な関心や注目とともにメダル獲得に向けて大きな期待を集めています。そのような状況の中で、我々極真会館においても、各種大会や行事等の活動の幅を広げ、内容の充実をはかることにより、武道空手道の普及と社会体育団体としての役割を明確にし、未来を担う子どもたちを育て、社会の健全化の一助になるべく邁進してきたいと思っております。
国際空手道連盟 極真会館は2014年に創立50周年を迎え、その翌年2015年の第11回全世界大会を契機に、今後の50年、100年に向けた大きな改革をスタートさせました。まず、国際団体としての統一感を持たせ、日本の伝統文化である武道を世界に発信する目的で開催する種々の大会や団体全体のイメージの刷新、また空手道のオリンピック競技参加を長期に渡り推進してきた公益財団法人 全日本空手道連盟との友好団体化に伴い積極的に交流する機会を持ちながら空手界の大同団結や空手道の社会的地位向上を目指して活動していく事、団体活動を象徴する大会の開催においては2016年より実施している組手競技におけるルール改定、及び2018年から開始したI.K.O.セミコンタクトルール競技会の奨励、そして昨年からは型の整備や細かい動作の統一を行っています。
特に組手競技については、極真空手の創始者である大山倍達師が、「素手素足」「体重無差別」「直接打撃」の3原則をもって創り上げた従来のフルコンタクト空手ルールを見直し、草創期の「実戦性」に回帰するとともに、社会体育としての「安全性」を確保しながら、「競技性」を高め、武術本来の技の習得や向上を目指すという目的で2016年にルール改定を実施しました。これによって、以前に比べ格段に精度が増した技術や実戦的でスリリングな試合展開が見られる様になり、昨年11月にルール改定後初の無差別世界大会が開催されたこともあり、4年目を迎えた今年は「I.K.O.フルコンタクトルール」として国際的に更に普及・浸透していくであろうと思います。
前述の全世界空手道選手権大会では、世界各国・各地域から男子166名・女子34名の合計200名の選手が参加し、男子は3日間、女子は2日間にわたり白熱した試合が展開され、男女とも日本選手の優勝という形で幕を閉じました。男子は前年の全日本チャンピオンである上田幹雄選手が決勝でロシアのオレクサンダー・イエロメンコ選手と再延長に及ぶ激闘の末に試割り判定で勝利し、空手母国・日本としては2003年の第8回大会以来、16年ぶりに王座をその手中に収めました。また女子も前年全日本の決勝を争った永吉美優選手と佐藤七海選手が再び決勝で激突し、こちらも再延長を戦い試割り判定で永吉選手が勝利するというドラマチックな展開で終わりました。
決勝戦に限らず、総じて手に汗握る好勝負が多かったことも、言うなればルール改定による技術の向上と選手自身の意識の変革によるものであると確信しています。しかしながら、まだまだ課題点が多いのも確かで、今後更に研鑽を重ねることで、来年の世界ウェイト制大会、2023年の第13回世界大会ではより洗練された攻防が展開されるであろうと大きな期待を寄せています。
さらに、2023年は大山総裁の生誕100周年にあたり、第13回世界大会はその記念大会になります。今年は世界大会の翌年で第13回大会に向けた新たなスタートとなる年ですから、そこに臨む選手達、また現在少年部やユースで頑張っている選手達も、極真空手の頂点である全日本大会や世界大会で活躍するという高い志を持って日々研鑽と精進に励んでいただきたいと思います。
また、前述のルール改定が一つのきっかけになり、顔面への突きに対する意識などフルコンタクトルールでは技術的に補いきれない部分を補完する目的で新たに考案され、一昨年より実施されたのが「I.K.O.セミコンタクトルール」による組手競技です。その柱となるのはフルコンタクトと同じく「実戦性」「安全性」「競技性」の3つで、特に青少年を中心とした選手の健康面を考慮し、防具を着用するなど安全性を充分に確保した上で、「間合い」「スピード」「技の正確性」など空手本来の技術を正しく身に付けるという意図があり、またオリンピック競技で採用されるWKF(世界空手連盟)ルールとの互換性や親和性を持つことも期待できます。
セミコンタクトルールの試合に関して、現段階では夏頃に全国規模の大会を開催する予定でおり、その他にも各地区・各県、また各支部内で精力的に交流試合や大会が行われていきますので、フルコンタクトルール同様にセミコンタクト競技にもぜひ興味を持っていただき、ぜひ積極的に参加していただきたいと思います。
国際空手道連盟 極真会館は、創始者 大山倍達が教示した「頭は低く、目は高く、口を慎んで心広く、孝を原点として他を益する」という極真精神をその理念とし、2011年『極真会館・命知元年』で示した「世界平和を目指し、武道空手道の普及による社会体育活動を通じて、社会に有用たる人材の育成に努める」という団体活動目的と「最強求道の志・相互互恵の志・永続繁栄の志」という3つの団体活動指針を基盤にする武道団体です。
日々稽古に精進する中で『最強』『一撃必殺』といった武術の理想を追求すると同時に、世界大会をはじめとする社会体育活動に積極的に取り組み極真空手の普及を通じて、心・技・体ともに健全な若者、健全な青少年の育成、国際交流や社会福祉を推進し、「武道を通じて社会に貢献する」という信念の下、社会に有用たる団体活動を行っていく所存です。
また、その社会貢献の一環として、2011年3月の東日本大震災以降、国内のすべての大会やイベントを震災や台風・豪雨災害等の義援金チャリティー大会として開催致しております。被災された各地の復興を願い、今後も継続的にチャリティー活動を行ってまいりますので、皆様方には引き続き御理解と御協力賜わりますよう宜しくお願い申し上げます。
最後に、今年のイベントとして現在予定している主なものは、4月に恒例行事である「2020国際親善空手道選手権大会」、続いて夏頃に「セミコンタクトルール競技会」、8月に「2020極真祭」「第37回全日本ウェイト制空手道選手権大会」、そして11月に「第52回全日本空手道選手権大会」となっています。また、各支部・道場主催による大会や合宿・審査等の行事も例年通り開催されますので、皆様方にはぜひとも体験的学習の場として活用していただければと思います。
本年が皆様にとって健康で幸せな実り多い一年となりますよう心から祈念し、新年の挨拶とさせていただきます。
2020年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
2020年1月1日
国際空手道連盟 極真会館
館長 松井章奎