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3月7日(金)~10日(月)、埼玉県秩父郡にて今年最初の全国選手S・A・Bクラス強化合宿が行われた。合宿には、昨年第45回全日本大会で優勝した安島喬平や第5回世界ウェイト制大会で軽量級優勝の小沼隆一、同じく重量級優勝の荒田昇毅など、全国から集まった強化選手と日本代表・木山仁監督、成嶋竜副監督、各コーチなど総勢22名が参加して、3泊4日の稽古に臨んだ。

今回の合宿は、1年8カ月後に迫る第11回世界大会での王座奪回を目指し、トップ選手の強化と全国の強化選手の実力の底上げを目的として実施され、各日とも午前9時から12時までフィジカル強化の稽古、午後は13時から17時まで空手の技術面を重視した稽古と、夜は海外強豪選手の試合映像を観てデータ分析とミーティングが行われ、最終日には参加選手同士で試合形式のワンマッチを行ってこの合宿で得た成果を確認した。

今回の合宿で特徴的だったのが、選手が2人~5人で1組になり、選手自身で海外選手への対策法を話し合い、研究しながら技術を共有し合うという方法。これまで強化合宿と言えばミット稽古など息上げで追い込み、激しい組手で鎬を削るというスタイルが通例だったが、木山監督によると「王座奪回に向けて今より強くなるためには、今までと同じことをしていたのでは無理。選手自身が自分で考えながら自発的に稽古に取り組むことを覚えなければ、さらに強くなることも、変わることもできません。合宿が終わり道場に戻れば各選手とも一人で稽古する機会が多くなります。その時に自分で思考しながら技術を磨き、組手を改良する方法をこの合宿で覚えて習慣づけてほしい」とその狙いを語った。

また、木山監督がもう一つのテーマとして挙げたのが「突きの強化」だ。突き技は空手の基礎的な部分でもあるし、突きが強ければ蹴りが活きてくるのは組手の定石でもある。「以前から、総じて日本選手に足りないものが“突き”であると私は感じていました。突き技でしっかり戦えなければ世界の強豪を倒すのは難しい。突きを強化し、元来のテーマである“機動力”を活かす組手ができれば、王座奪回が現実味を帯びてくるはず」と木山監督は語る。

参加した全日本チャンピオンの安島は「午前中にフィジカルで追い込み、午後は技術中心の稽古という合宿は新鮮に感じました。夜に海外選手の映像を観て対策を考え、翌日の稽古でそのイメージを試すという試みも、日本のトップ選手同士だから様々な角度から意見が交わされて自分だけでは得られない情報を得ることができ、また突きの強化は自分でも今後のテーマとして自覚していたので、とても充実した時間を過ごすことができました。いつもの合宿であれば疲労した中から最後の気力を振り絞って最後のワンマッチに臨むところですが、今回はそれまで研究した成果を最後に発揮しなければいけないという思いが選手全員にあり、それが動きに現れていたと思います。自分の場合は、突きにつなぐためのポジション取りや間合い操作を意識して組手をしました。この合宿で得たものを、11月の全日本大会をはじめ今後の選手活動に活かしていきたいと思います」と大きな収穫を語った。

今回の合宿の成果について、木山監督は「技術に対する選手たちの意識改革が行われたように思います。当然まだ我々の期待するレベルには達していませんが、少しずつ改善が見られているので、今後さらに研究を重ねていくことにより、選手たちの実力は確実に今よりも向上していくでしょう。世界大会は来年ですが、視点を変えれば残り時間はわずか1年8カ月しかありません。今年11月の全日本大会が代表選抜戦になりますが、日本選手はお互いに切磋琢磨し、一つのチームとして全体で向上していく意識で頑張ってほしい」と期待を寄せた。

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