師範のことば

池田治樹 師範

2014年3月11日

池田治樹 師範
(いけだ・はるき)
1953年2月2日、青森県弘前市出身
74年12月、極真会館総本部に入門
94年1月、極真会館青森支部設立
 現・極真会館北日本本部 本部長、青森支部 支部長




極真空手は直接打撃性、いわゆるフルコンタクトである。サポーターや最低限の防具を着けて、顔面や喉、金的以外は実際に当てる空手だ。
稽古での組手は全力ではやらないが、それでも「きつい、痛い、怖い」が多少はあるのも事実であり、私はそれが極真空手の良さ、すばらしさでもあると思っている。この「きつい、痛い、怖い」稽古に立ち向かい、乗り越え克服することによって体力がつき、精神力がつき、肉体的にも丈夫になり、怪我をしても普通の人の二倍ぐらい回復力がついてくるし、克己心も育成される。そして何よりも実際に当てることにより、人の痛みを知るやさしい人間になれるだろう。
また先輩や師範と接することにより、礼儀作法も自然に身につき、上司や先輩を敬う心が育成され、敬語も使える人になるだろう。
極真空手では、上級者になってくると審査(昇級試験)に道場訓の筆記がある。極真空手の道場訓は1から7まである長いものだが、「宮本武蔵」の作者、文豪・吉川英治先生監修のものであり、武道を志す者達への心構えや戒めが全て入ったすばらしい道場訓である。これを稽古終了後に毎回斉唱し、道を踏み外さないように心に刻むのだ。
極真は試合の後、勝った選手にはガッツポーズを禁止している。なぜだろうか?これは、負けた相手にも思いやりの心を持つことだと私は解釈している。「武士の情け」である。明日は我が身になるかもしれないのだ。
日本人の心の奥には「武士道精神」が根付いている。この世界に誇れる日本の精神文化をさらに後世に伝えてゆくには、極真空手がいちばんだと私は思うのである。

◎極真会館 青森支部