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4月25日(日)、総本部代官山道場において、第12回世界大会優勝者・上田幹雄の100人組手が実施された。世界王者による100人組手挑戦は2014年4月のタリエル・ニコラシヴィリ(ロシア)、2016年4月のザハリ・ダミヤノフ(ブルガリア)に次いで3度目で、2023年に予定される第13回世界大会で2連覇を狙う現役チャンピオンの挑戦ということでも注目を集め、対戦相手には世界大会や全日本大会の上位入賞者など精鋭が揃った。

また今回は新型コロナウイルス感染症の感染防止に最大限の対策を講じ、極真会館の感染防止策のガイドラインに沿った形で2週間の体調チェック、当日の入室時の検温、手指の消毒・除菌、室内の換気、対戦者の組手時間以外のマスク着用等に十分に配慮した上での実施となった。

11時に挑戦者・上田と対戦者を前に松井章奎館長は「今回は組手時間を大山総裁時代の1人2分間に戻して行います。また、一つ一つの組手の勝敗は決めますが100本試合ではありませんので、しっかり技のやり取りをしてきれいな組手を心がけ、価値のある100人組手にしてください」との挨拶があり、11時10分に1人目の対戦者である鎌田翔平との組手がスタートした。

前半は2人目で合わせ一本勝ちしたのを皮切りに、上段廻し蹴り、中段前蹴り、内廻し蹴りで技有りを連続して取って順調に技有り優勢勝ち、合わせ一本勝ちを重ねていった。40人目が終了して道着の着替えのため約10分間の休憩を取ったが、休憩後の40人を過ぎて相手の技をもらう場面が目立ち、44人目で初めて黒星が付いた。

松井館長は上田に「相手の技を不用意にもらってはいけない。軽くても相手の技を受けて返すこと。(技有りや一本を)狙わないこと」とアドバイスを送る一方で対戦者にも「突くときはきちんと突く。達成させようと手心を加えた組手をしても意味がない。試合のように向かって行く必要はないが、100人組手の価値を下げないためにもしっかり組手をやるように」との注意があった。

52人目と59人目で相手の下段廻し蹴りで技有りが取られ、60人目の西村界人との対戦では下段廻し蹴りで技有り2つを取られ、合わせ一本負けを喫した。その後、再び休憩が取られたが、控室に戻った上田にめまいや全身の打撲、視界が狭くなるといった危険な症状が見られ、本人は続行を希望したものの、ドクターの判断により無念のストップが宣告された。

終了後の総評で松井館長は「新型コロナウイルス感染症の影響で世界大会から1年半が経過し、さらにコロナ禍で十分な稽古ができなかったことで、組手の感覚的な部分で鈍っていたのかもしれません。また試合と違って複数人を相手にする組手の技術的な部分でも不足が見られました。残念ではありますが、失敗したことによって挑戦したことの価値が下がるものではないし、彼自身が劣っているということでもありません。上田選手がこの失敗で自分の欠点や弱点に気付き、それを乗り越えていけばさらに成長していく可能性は大いにあります。私自身も、組織としても今後も変わらず、上田選手には期待を寄せていきたいと思います」と感想を述べた。

今回の100人組手はKYOKUSHIN ONLINEを通じて初めて全世界にライブ配信された。上田にとっては無念の結果になったが、改めて100人組手の過酷さを浮き彫りにする形になった。









■上田幹雄 100人組手記録
日時/2021年4月25日(日)
場所/極真会館総本部代官山道場
組手時間/2分間
組手開始時間 11時10分
一本勝ち/2
合わせ一本勝ち/12
技有り優勢勝ち/9
優勢勝ち/10
引き分け/17
負け/10