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 新年、あけましておめでとうございます。

 平素は極真会館の活動を支援いただき誠にありがとうございます。この場をお借りして謹んで御礼申し上げます。

 本年2014年は、「国際空手道連盟 極真会館」は創立50周年を迎えると同時に、創始者である大山倍達総裁が逝去されて20年という大きな節目の年になります。

 極真会館は、大山総裁が1964年に設立し、直接打撃制空手のパイオニアとして活動をスタートさせました。また、大山総裁が1994年4月に没して以降は我々が団体を引き継ぎ、現在まで休止することなく活動を続け、50年間にわたって空手界をリードしてきました。

 ご存知のように極真会館は実戦空手を基盤にした武道団体です。ここで明示しておきたいのは、その成り立ちを顧みても分かるように、極真会館は決して一流派ではなく団体であるということです。

 では何をもって「極真空手」とするかと言えば、「極真会館」という団体に集まった多様な個性と価値観が、この大きな集団の中で切磋琢磨し、研鑽される空手こそが「極真空手」なのです。また正統な極真会館とは、大山総裁が創設した「国際空手道連盟 極真会館」という名称を一字一句変えずに活動している事、大山総裁が「聖地」と言われた東京・池袋に総本部道場を置いている事、そして絶え間なく恒例行事を積み重ねて活動を継続している団体である必要があります。その意味でいえば、大山総裁が創設した極真会館を正統に引き継いだ団体で行われている空手こそが極真空手であり、その団体は我々の極真会館以外に存在しないということを、今年50周年を機に改めて明言しておきたいと思います。

 このことを我々もまた会員の皆様も胸に刻み、自覚と誇りを持って今後の活動に取り組んでいただきたいと思います。

 さて、昨年11月に行われた第45回全日本空手道選手権大会は、安島喬平選手が決勝で前年優勝者アレハンドロ・ナヴァロ選手を下して優勝し、全日本大会に関して言えば、2010年第42回大会以来4年ぶりに日本選手が優勝しました。安島選手を筆頭に少年部から空手を始めた選手や、10代の若い選手の活躍も目覚ましく、今大会を機に日本の選手層あるいは日本選手の育成環境は全く新しく様変わりしてゆくものと考えられます。さらには3.11東日本大震災の被災者でもある安島選手が優勝したということは、多くの人々に勇気と希望をもたらしたと言えるでしょう。

 今年11月に開催する第46回全日本大会は、来年開催予定の第11回全世界空手道選手権大会の日本代表選抜戦になります。世界大会では2007年第9回、2011年第10回大会と2大会連続で外国人チャンピオンが誕生していますが、今年の全日本大会で優勝あるいは活躍する選手が世界大会の日本代表となり、世界王座奪回に向けた中心的存在になります。日本が空手母国の威信を取り戻し、再び王座に就くためには、現在のトップ選手はもちろん、全国の選手たちのレベルアップと若い選手の成長が望まれます。また現在少年部やユースで頑張っている選手達は、安島選手をはじめトップ選手を目標にして、未来の全日本チャンピオンや世界チャンピオンを目指してほしいと思います。

 このように従来、空手といえば前述のような一般成年男子による激しい組手試合が象徴とされていました。しかし、時代の流れとともに少年少女から中高年、壮年まで老若男女を問わずあらゆる世代の人々に受け入れられ、入門者や競技会への参加者が激増し、組織自体も発展を遂げてまいりました。

 ここで改めて言えることは、極真会館は武道団体であり、極真空手は武道空手であるということです。武道である以上、空手の修行を通じて心身ともに健やかなる成長を遂げなければなりませんし、それを多くの人々に発信していかなければいけません。それによって社会に貢献できる団体であるべきなのです。特に健全な青少年育成という点において、武道として取り組むべきことは、体育、智育、徳育を養う場を提供し、未来を担う子どもたちを育て、社会の健全化の一助になるということです。

 創立50周年を迎えた極真会館が今後どういった道に進むべきかといえば、これまでの象徴でもあった「最強」「一撃必殺」といった武術の理想を失うことなく、社会貢献という武道本来の姿に立ち返り、地道にそれらの活動を続けていくことに他なりません。また、それが我々に課せられた責務だとも思っています。

 また、具体的な社会貢献の一環として2011年3月11日の東日本大震災以来、極真会館では国内すべての大会やイベントを「東日本大震災 義援金チャリティー」として開催し、多くの皆様から御協力いただいた義援金や募金活動で集められた義援金を、日本赤十字社を通じて被災した各地にお送りさせていただきました。しかしながら、震災から3年が経過しようとする現在も被災地が困難な状況にあることに変わりありません。被災者の方々の生活が少しでも改善され、被災地に本当の意味での復興の日が訪れることを願い、極真会館では今後も継続して支援活動を行ってまいりたいと思っておりますので、引き続き皆様にも御理解・御協力をお願い申し上げたいと思います。

 極真会館は、2011年を『極真会館・命知元年』と定めて、震災のちょうど2カ月前にあたる2011年1月11日に、「極真会館は、世界平和を目指し、武道空手道の普及による社会体育活動を通じて、社会に有用たる人材の育成に努める」という団体活動目的と、「最強求道の志・相互互恵の志・永続繁栄の志」という3つの団体活動指針を公式表明いたしました。これは激動する現代社会において、極真空手を学び稽古することで我々は、何を目指し、何を社会に還元できるのか、未来に向けて我々が今何を為すべきかについて、明確に示したものです。また、極真会館の理念は「頭は低く、目は高く、口を慎んで心広く、孝を原点として他を益する」というもので、これは大山総裁が我々に教示した「親に孝行する者が社会に奉仕し、社会に奉仕する者が国家に忠誠を尽くす」という教えの根幹を成すものです。そして、この精神こそが、「国家、人種、宗教、民族、政治、思想等あらゆる差別や偏見、垣根を乗り越えて世界の和合を実現できる」という師の教えを、先述の「命知元年」で示した活動指針に照らし合わせながら、国際交流や世界平和への貢献を主旨とした世界大会をはじめとする日々の活動の場を通じて実践していきたいと考えています。また先の震災で被害に遭われた方々や被災地の復興支援という目標を掲げ、長期的な視野にたって社会に有用たる団体活動を行ってまいる所存でいます。

 大山総裁は「勝負偏重主義」という言葉を好んで用いていましたが、多くの人は試合の場においての、または他人と闘争したときの勝負に勝つことと解釈しているのではないかと思います。しかし、総裁が言わんとした「勝負偏重主義」の本当の意味は決してそれだけではありません。たとえば試合に向けて自分に打ち克ちながら日々鍛錬を積み重ねることも一つの勝負ですし、実際の試合で勝った人間がさらに次の勝ちにつなげられるのか、また一過的な敗北を喫した人間が次への勝利につなげることができるのかという勝負があります。大会を目指す選手以外の一般論としても、たとえば日常生活の中で、自分がすべきことをしっかり実行できているか、逆に自分がしたいことだけを続けているのではないか、これも一つの勝負です。

 物事を俯瞰して自分を客観視したときに、現実逃避せず、責任転嫁せず、自分自身が何をすべきなのかということを見極めて、それが本当に出来ているのかどうか、または精一杯努めているかどうかという勝負があります。

 それら一つ一つの局面での勝負があり、その一つ一つに対して常に勝ちを求める努力を怠らないというのが総裁の言われる「勝負偏重主義」であって、相手と競ったときだけの短絡的な勝負をもって極真会館は「勝負偏重主義」と言っているのではありません。

 すべては、日々の自己を顧みての勝負であり、それが武道を通じて自分自身を知る作業につながってくるのです。

 さて、今年50周年の記念イベントとして現在決定しているのは、まず大山総裁の命日にあたる4月26日前後に世界大会優勝者のタリエル・ニコラシヴィリ選手と全日本大会優勝者の田中健太郎君が百人組手に挑戦します。百人組手が行われるのは4年ぶりで過去50年の歴史の中でもわずか8名しか達成者がいない、非常に過酷で厳しい修行です。ぜひとも皆様もこの2名に注目し、応援していただきたいと思います。

 また大山総裁の二十年祭を4月の国際親善大会(4月19日、20日)に合わせて今年は通年の三峰神社ではなく都内で執り行います。そして秋の第46回全日本大会(11月2日、3日)の付近で50周年を祝うパーティーを開催する予定でいます。

 そして毎年の恒例行事として、4月に「2014国際親善空手道選手権大会」、6月に「第31回全日本ウェイト制空手道選手権大会」、8月に「2014極真祭」、11月に世界大会選抜戦となる「第46回全日本空手道選手権大会」の開催を予定しています。また、各支部・道場主催による大会やイベントも例年通り開催されますので、皆様にはぜひとも有意義なものとしてご活用いただき、今後も皆様と共に極真会館の活動に邁進していきたいと思っています。

 本年が皆様にとって実り多く、健康で幸せな一年となりますよう心から祈念し、新年の挨拶とさせていただきます。
 2014年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

2014年1月1日
国際空手道連盟 極真会館
館長 松井章圭