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2013第5回全世界ウェイト制空手道選手権大会

2013年4月28日/東京体育館

 

4月28日(日)、東京体育館にて「2013第5回全世界ウェイト制空手道選手権大会」が開催され、世界各国・各地域から4階級に各16名(合計64名)が出場して体重別の空手世界一が争われた。

世界の強豪が出場する今大会で、軽量級は小沼隆一(日本)、中量級は森善十朗(日本)、軽重量級はアレハンドロ・ナヴァロ(スペイン)、重量級は荒田昇毅(日本)がそれぞれ優勝。日本は4年前の第4回大会に続き3階級で優勝を遂げた。

 

【軽量級(-70kg)】

実績豊富なベテランと新鋭の対戦が注目された軽量級。日本のホープ木村直弥が優勝候補の一角だったロマン・セムチェンコ(ロシア)を延長判定4-1で撃破。その木村も準決勝では前回第4回大会3位のピョートル・モチドウスキー(ポーランド)を相手に再延長戦まで粘るが最後は試割り判定で惜敗し、決勝にはモチドウスキーが進出した。

反対のブロックは、大会前から注目された昨年のヨーロッパ大会軽量級優勝者18歳のエルダー・イスマイロフ(ウクライナ)が、初戦と準々決勝でともに合わせ一本勝ちを奪うなど、前評判通りの実力を示した。昨年の全日本軽量級優勝者の小沼隆一は、初戦、準々決勝と延長戦で相手を退け、迎えた準決勝のイスマイロフ戦でも本戦は判定1-2とやや劣勢だったが、延長では逆に盛り返して判定4-0で勝利、決勝へ駒を進めた。

30歳のモチドウスキーと27歳の小沼の対戦となった決勝戦は、積極的に前に出て突きから下段廻し蹴りを繰り出した小沼が優位に試合を進め、本戦判定4-0でモチドウスキーを下し、日本に最初の優勝をもたらした。

またこの階級2試合で合わせ一本勝ちを奪ったイスマイロフには、大会後の表彰式で「一撃賞」が贈られた。

▼軽量級決勝戦
○小沼隆一(日本/初段/164㎝/70kg/27歳)
本戦判定勝ち
4-0
×ピョートル・モチドウスキー(ポーランド/弐段/175㎝/70kg/30歳)

 

【中量級(-80kg)】

前回大会優勝者で2連覇を狙う森善十朗と、昨年全日本ウェイト制決勝で森に敗れて以来、「森選手を下すこと=世界中量級優勝」をテーマにしてきた澤村勇太(日本)という日本中量級の2枚看板が出場し、大会前から両者の決勝対決が予感されたこの階級は、その予想通り、森と澤村が決勝戦に勝ち上がった。

澤村は準々決勝では昨年3月にパリの大会でワンマッチで敗れた第3回大会軽量級優勝者ルシアン・ゴゴネル(ルーマニア)を本戦判定4-0で下すと、準決勝でもUSウェイト制優勝者のショウヘイ・ヤマモト(アメリカ)を本戦判定4-0で退けて決勝進出。ここまでの3試合すべて本戦で試合を決めて好調さをうかがわせた。

一方の森は、準々決勝で開始早々、相手のアンドレイ・ズボレフ(ロシア)の右上段膝蹴りをピンポイントで喰らい、キャンバスに倒されて技有りを奪われる波乱の展開。必死に挽回を試みるが決定打がなかなか決まらない中で本戦終了間際に繰り出した跳び上段廻し蹴りが相手の側頭部にヒットしてそれが技有りとなって本戦は引き分け。振り出しに戻った試合は再延長判定4-1で森が辛勝してクリアすると、続く準決勝では実力者イゴール・ティトゥコフ(ロシア)を本戦判定4-0で下して復活を見せた。

森と澤村という日本選手同士の決勝戦、両者手の内を知っているだけあって本戦は互角の展開だったが、延長戦の終盤、森は左右の膝蹴り連打でラッシュ。この攻防が明暗を分け、4-0の判定で森が勝利し、4年前の第4回大会に続く中量級2連覇を達成した。

▼中量級決勝戦
○森善十朗(日本/弐段/173㎝/79kg/27歳)
延長判定勝ち
本戦1-0
延長4-0
×澤村勇太(日本/弐段/171㎝/76kg/24歳)

 

【軽重量級(-90kg)】

昨年全日本大会優勝者アレハンドロ・ナヴァロを筆頭に、同大会4位のダルメン・サドヴォカソフ(ロシア)、同5位のイリヤ・カルペンコ(ロシア)、一昨年無差別世界大会7位で昨年ヨーロッパ大会軽重量級優勝者のオレクサンダー・イエロメンコ(ウクライナ)という世界トップクラスの実力者がエントリーし、今大会屈指の激戦クラスとなった軽重量級。その4強による優勝争いは必至と思われたが、まずイエロメンコが初戦で顔面殴打による減点でトーナメントから姿を消すと、準々決勝では昨年全日本大会7位の鎌田翔平(日本)がサドヴォカソフを本戦4-0の判定で下して4強の一角を崩した。鎌田はその勢いで準決勝では19歳の新鋭イヴァン・メゼンツェフ(ロシア)を延長判定4-0で下して決勝に進んだ。

反対のブロックでは、昨年の全日本軽重量級優勝者・小林大起(日本)が準々決勝でカルペンコを相手に延長判定5-0で敗れ、カルペンコが準決勝に進出。ナヴァロは準々決勝でブラジルのジオゴ・シルヴァを本戦判定3-0で下し、続く準決勝でもカルペンコに持ち味を発揮させず終盤に攻撃をまとめて本戦判定5-0で決勝へ勝ち上がった。

過去4度の世界ウェイト制大会ですべて日本選手が優勝している唯一の階級である軽重量級で、決勝に残った鎌田に日本中の期待が集まる中で開始された決勝戦。ナヴァロと鎌田は一昨年世界大会でも対戦しており、鎌田にとっては絶対に借りを返したい相手でもあった。序盤はお互い間合いを取って、鎌田の得意の後ろ廻し蹴りや、ナヴァロの跳び上段蹴りが空を切るスリリングな展開。本戦判定1-0(ナヴァロ)で迎えた延長戦、やや疲れの見える鎌田にナヴァロは得意のラッシュで押し切り判定5-0、ナヴァロが全日本チャンピオンの貫録を示し、世界軽重量級の王座を手にした。

▼軽重量級決勝戦
○アレハンドロ・ナヴァロ(スペイン/弐段/180㎝/89kg/36歳)
延長判定勝ち
本戦1-0
延長5-0
×鎌田翔平(日本/弐段/186㎝/90kg/25歳)

 

【重量級(+90kg)】

過去にフランシスコ・フィリォ(第1回)、エヴェルトン・テイシェイラ(第3回)が優勝し、無差別世界大会に大きな影響を及ぼす可能性があるこの階級。また、前回第4回大会で3階級を制した日本にとって唯一タイトルを逃したのがこの重量級だった。つまり日本が目標とする「全階級制覇」はこの重量級が最も大きなカギになる。

まず昨年全日本ウェイト制重量級で優勝し、無差別全日本大会で3位に入賞した荒田昇毅は、準々決勝で一昨年世界大会6位のニコライ・ダビドフ(ロシア)と対戦し、192㎝と懐の深いダビドフに中段突きを集中して合わせ一本勝ちを奪うなど攻撃力のアップをアピール。続く準決勝では過去に1勝1敗の相手、世界大会5位で一昨年と昨年のオールアメリカン大会を連覇しているザハリ・ダミヤノフ(ブルガリア)を本戦判定4-0で下して決勝に進出した。

一方のブロックでは、リザーブから昇格して出場した村岡賢和(日本)がフランスのジマ・ベルコジャに左上段廻し蹴りで技有りを奪われて敗退、荒木聡(日本)は初戦で新鋭パトリク・シピエン(ポーランド)を体重判定で退けたが、続く準々決勝では一昨年世界大会3位・昨年全日本大会準優勝の優勝候補ゴデルジ・カパナーゼ(ロシア)に本戦判定3-0で敗れ、二人の日本選手は準決勝を前に姿を消した。

カパナーゼは準決勝ではオーストラリア出身で現在は日本の総本部で修行を積むスティーブン・キュージックと対戦。キュージックを本戦判定5-0で退けて決勝へ進出し、好調な荒田との一騎打ちに期待を持たせた。

だが決勝戦を前にして、カパナーゼは体調を崩してドクターストップ。不戦勝という形で荒田の重量級優勝が決まった。

▼重量級決勝戦
○荒田昇毅(日本/初段/184㎝/104kg/25歳)
不戦勝
×ゴデルジ・カパナーゼ(ロシア/弐段/182㎝/96kg/26歳)

 

今大会の総評で松井館長は「日本選手の健闘が光った大会だったと思います。日本は、一昨年の世界大会を経験した若い選手たちが、昨年の全日本大会では結果こそ外国人同士の決勝戦ではありましたが、格段に成長していることがうかがえて、そして迎えた今大会でさらに進歩を遂げていることが確認できました。この延長線上に2年後の無差別世界大会があることを期待したいですね。

全体を見て、最近までロシア、ブラジルの2強に日本がかなり離されている印象がありましたが、この結果を見ると日本が世界に追いついてきたか、ややリードしているとも言えるのではないかと思います。そう考えると、日本もヨーロッパも強くなっていますし、世界各国が平均的に強いという意味で、パワーバランスが落ち着いてきているのかなという印象があります。

2年後といえば今回活躍した日本選手たちが最も脂の乗った全盛期を迎えるわけですから、日本の王座奪回も現実として期待できるでしょう。今から2年あれば外国勢はさらに進化すると思うので、日本選手もそれに負けないくらい進化を遂げてほしいと思います」と語り、今回の日本選手たちの活躍を称え、無差別世界大会でのさらなる進化を期待した。

また今大会で特別表彰として、ブラジルのフランシスコ・フィリォ師範に、これまでの数々の業績を称えて松井館長より六段位が授与された。

世界ウェイト制大会各階級優勝者。左から軽重量級/アレハンドロ・ナヴァロ、中量級/森善十朗、軽量級/小沼隆一、重量級/荒田昇毅

 

2013 第5回全世界ウェイト制空手道選手権大会 結果
2013 The 5th World Weight Category karate Championships Results

■軽量級(-70kg)
優勝/小沼隆一(日本)
1st Place/Takaichi Onuma(JAPAN)
準優勝/ピョートル・モチドウスキー(ポーランド)
2nd Place/Pitor Moczydlowski(POLAND)
3位/エルダー・イスマイロフ(ウクライナ)
3rd Place/Eldar Ismailov(UKRAINE)
4位/木村直弥(日本)
4th Place/Naoya Kimura(JAPAN)

■中量級(-80kg)
優勝/森善十朗(日本)
1st Place/Zenjyuro Mori(JAPAN)
準優勝/澤村勇太(日本)
2nd Place/Yuta Sawamura(JAPAN)
3位/イゴール・ティトゥコフ(ロシア)
3rd Place/Igor Titkov(RUSSIA)
4位/ショウヘイ・ヤマモト(アメリカ)
4th Place/Shohei Yamamoto(USA)

■軽重量級(-90kg)
優勝/アレハンドロ・ナヴァロ(スペイン)
1st Place/Alejandro Navarro(SPAIN)
準優勝/鎌田翔平(日本)
2nd Place/Shohei Kamada(JAPAN)
3位/イリヤ・カルペンコ(ロシア)
3rd Place/Ilya Karpenko(RUSSIA)
4位/イヴァン・メゼンツェフ(ロシア)
4th Place/Ivan Mezentsev(RUSSIA)

■重量級(+90kg)
優勝/荒田昇毅(日本)
1st Place/Shoki Arata(JAPAN)
準優勝/ゴデルジ・カパナーゼ(ロシア)
2nd Place/Goderzi Kapanadze(RUSSIA)
3位/ザハリ・ダミヤノフ(ブルガリア)
3rd Place/Zahari Damyanov(BULGARIA)
4位/スティーブン・キュージック(オーストラリア)
4th Place/Steven Cujic(AUSTRALIA)

一撃賞/エルダー・イスマイロフ(ウクライナ)

 

◎軽量級トーナメント勝ち上がり

◎中量級トーナメント勝ち上がり

◎軽重量級トーナメント勝ち上がり

◎重量級トーナメント勝ち上がり