松井館長の閑話休題

国際親善大会は2005年にその前身となる国際青少年大会・国際壮年大会を開催して以来、約10年間にわたって継続して開催されてきた。回数を重ねるごとに出場選手や参加国数が増加しており、この大会を目標に世界の各地域から少年部、女子部、壮年部の選手が集い、今では2日間で合計1500名を越える参加する非常に大規模な国際大会に成長した。

大山総裁存命中の前体制下では一般男子による全日本大会、世界大会、全日本ウェイト制大会の3つがメインの大会としてあったが、現状では4月の国際親善大会、6月の全日本ウェイト制大会、8月の極真祭、11月の全日本大会・世界大会、さらに4年に一度の世界ウェイト制大会もあり、その中でも参加人数や集客において国際親善大会は特に規模が大きく、組織的にも極真会館の主たる行事の一つになってきている。

30~40年前の極真会館は、ほぼ全ての会員が誰よりも強くなりたいという実戦志向を持って道場に入門し、稽古に励む中から一部の強い人が大会に出ていくという集団的構図があった。当時の実戦集団、あるいはその後の競技集団というところから、今では競技人口が老若男女幅広い層に広がり、また従来の組手競技だけでなく型競技など多くの人のニーズに合わせてカテゴリーを細分化することによって、様々な個性や特性や目的意識を持った選手がそれぞれの分野で活躍できる大会に成長してきた。これは、武道を通じて社会体育活動をする団体としても非常に喜ばしい事である。

国際親善大会は、今後回を重ねるごとに、より一層国際的な広がりを見せ、大会としてのクォリティを上げて競技自体もレベルアップしていくだろう。1975年に第1回世界大会が開催され、この大会では日本選手が上位を独占したが、1979年の第2回大会では中3年の間に海外勢が長足の進歩を遂げて日本勢を脅かした。このように人間は体験的な学習によって多くを学び、短期間のうちに成長を遂げるものだ。人間にはもともとそういう優れた能力がある。

これは規模が大きければ大きいほど、また多くの人が関わる大会になればなるほど、さらにブラッシュアップされていく。特に子どもたちにとっては、国際的な人的交流、技術的交流、そして組織的交流、そういったことの一つ一つが見聞を広めることにつながり、また成長期にそのような体験をすることが後の人生に大きな影響を及ぼしていくはずである。

極真会館は世界に支部道場を持つ国際的団体であるという特色を生かし、未来を担う子どもたちに国際交流の場を提供し、機会を与えることでより良い形で健全な青少年の育成につなげていきたいと思う。そして各々の地域社会、また広い国際社会に貢献する一助となるように、今後も活動を充実させていく所存である。

国際空手道連盟 極真会館
館長 松井章圭