昇段レポート


「芯の強い人間を目指して精進する」
林 武志/初段/本部直轄名古屋道場

この度は昇段審査を受審させていただき、石黒先生ありがとうございました。

振り返りますと30歳で入会以来、12年7カ月もの歳月が経っていました。入会の動機は月並みではありますが「強くなりたい!」という思いからでした。自分に自信が持てず、他人に劣等感を抱いたり、上手くいかなければ言い訳ばかり、将来に対する方針も定まらず葛藤していた頃だったと思います。

そんな弱い自分を改善し、「芯の強い人間になりたい」という渇望が入門へと駆り立てたのでした。入門当時、地域にサッカーリーグで毎週運動していたこと、小学生の頃に他流で初段を取得していたことから、最初は空手の稽古に対する不安はあまりなく、逆に少し自信があったくらいでした。

しかし、入門初日に驚愕の稽古体験がありました。基本から移動と気合いのこもった稽古では道着を整える以外に休みはなく、補強では腹筋・背筋・拳立て・亀跳びなど、気が遠のく数で、ついていくことさえ出来ませんでした。周りを見ると先輩たちは弱音一つ吐かず黙々とこなしている光景を見て、その時初めて分かったのでした。「レベルが違う」ということを。さらに「自分の考えそのもの」が甘かったということを。

倒れ込むように稽古を終えた後、なんとも清々しい気分になり、そして曲りなりにもやり切った自分に少し自信が持てるようになりました。また、稽古翌々日には体がバリバリになり、ペンギン歩行で出社し、車の運転にも不自由したことが思い返されます。

それからは、稽古前の不安と稽古後の充実感の繰り返しでした。入門から数カ月経った初めての審査の際、本部よりお見えになられた福田師範より次のお話がありました。「私の友人で20年近くかかって黒帯を取られた方がいます。彼は仕事の関係で休会期間もあったが、決して夢をあきらめなかった」。

当時は、その言葉のありがたみが分かりませんでしたが、今になって自分があきらめずに続けてこられたのは、あの時のご指導のおかげであったと実感しております。

私も幾度のケガや仕事での休会、また稽古から逃げて遊んでいた時期もありました。そんな自分を、いつも広い心で声をかけていただき、道場へ戻していただいたのが石黒先生でした。

この度の審査において、黒帯は自分が頑張った成果だ、などと決して思い上がってはならないのです。つらい稽古や失敗、挫折も自分一人の力で乗り越えたのではありません。石黒先生はじめ、ご指導いただいています先輩、良き仲間のおかげで続けてこられたと思います。そして、道場訓の最後にある「生涯の修行を空手の道に通じ、極真の道を全うすること」、この教えから逃げないように、芯の強い人間を目指して精進していく所存です。

最後に、いつも応援してくれている親、家族など社会の支えがあって空手ができることを忘れずに感謝して修行に励みたいと思います。押忍。